慧博研究所はこのほど、留学帰国者の構成や特徴、帰国者に対する企業の評価などを対象とした調査を行い、中国の海外留学帰国者の生活状況調査(2007年)を発表した。 ▽帰国者の過半数が海外での仕事経験なし 職歴がないか、または正式雇用でない兼職または短期間の仕事などしか経験のない帰国者が約半数を占め、年齢が若くなるほどその年齢層で占める割合が大きいことが明らかになった。学習のために出国して海外へ留学し、帰国して就職する傾向を反映しているが、実際の仕事経験に欠けるため、これが仕事を探す上での制約となっている。 ▽仕事上での驚くべき上昇スピード 帰国者の半数は管理職として活躍している。専門の技術業務に従事する帰国者の割合は13.49%で、帰国者の職業分野とその専門とが合致していることが分かる。また26~30歳の帰国者の7割近くが企業の中級?高級管理職や専門家クラスの技術スタッフとして働くか、自らの会社を設立している。30歳以上の年齢層ではその割合が8割以上に達し、海外留学帰国者の仕事上での上昇スピードは驚くほど速い。 ▽顕著な報酬の格差 不動産?建築業界、IT業界、金融業界、文化?教育?メディア業界、その他の業界で就業している海外留学帰国者に対する調査によると、不動産?建築業界やIT業界の報酬が最も高いことがわかった。企業のタイプでは民営企業や上場企業で報酬の格差が目立つ。外資独資企業の報酬が最も高く、国有または国有持ち株企業、中外合弁企業の中では合弁企業が若干高めとなっている。 ▽修士の学歴が最多 留学帰国者の学歴では、修士の占める割合が最も大きく、約6割に達している。続いて学士(大卒)が3割近くを、博士が6.58%をそれぞれ占め、短大以下の学歴が3.62%となっている。留学帰国者の57.2%が経済管理分野を専攻し、また工科分野専攻の中ではコンピュータ?電気通信類の専攻が最も多く、過半数を占めている。社会科学類専攻の割合は1割強、そのうち言語?文化?芸術類の専攻が7割以上を占めている。理科類専攻の占める割合は最も少なく、5%未満となっている。 ▽技術製品研究開発分野の就職状態が良好 調査によると、海外留学帰国者の就職傾向は企業のタイプによって異なる。業界別に見ると、コンサルティング?法律?財務会計業、サービス業、商品流通?貿易業、文化?教育?メディア業といった業界で就職状況が比較的良く、不動産?建築業、IT業の就業は相対的に難しくなっている。 留学帰国者の求職で競争が最も激しい業界は行政、国際貿易で、競争が最も少ないのは技術?製品の研究開発、営業となっている。 ▽半数の企業が留学帰国者に満足 帰国者を採用した企業は、国際的な視野や国際市場環境に対する理解、外国語能力を帰国者の強みと見ており、その割合は過半数以上に達している。次いで革新意識、異文化適応能力、職業上の素養、管理知識などを重要な強みと考えている。 海外留学帰国者に対する企業の評価のうち、「満足」だとするものが半数近くに達し、また約45%の企業が「まずまず」だと答えている。「非常に満足」、「期待はずれ」とする回答の割合は合わせて6.02%を占めている。 留学帰国者を雇用中の外資独資企業による帰国者人材への満足度は3割未満だが、国有または国有持ち株企業では6割以上に達している。満足度が最高だったのは中外合弁企業で、逆に上場企業が最低となっている。 「人民網日本語版」2007年7月10日 |