中国の都市と農村における発展アンバランスは、均等な経済発展の足を引っ張る主要因となっており、多くの経済学者が注目している。中国農業大学公共管理学部主任の張正河教授はこのほど、中国の都市?農村格差問題に関して取材に応じた。 張正河教授は、中国の都市?農村格差は主に以下6つの方面に現れていると指摘している。 ▽住民所得格差 改革開放以来、中国の都市?農村の住民所得格差は縮小と拡大を繰り返している。国家が農民に対するさまざまな特恵措置をここ数年講じており、都市と農村の収入格差は3.21対1を維持している。都市住民収入のうち、住宅、教育、医療、社会保障など各種社会福祉という金銭面以外の要因も考慮に入れると、都市?農村の住民所得格差はさらに大きくなる。 ▽教育格差 都市部における高校、中等専門学校、短大、大学学部、大学院の学歴取得者の人口比率はそれぞれ、地方の3.4倍、6.1倍、13.3倍、43.8倍、68.1倍となっている。九年制義務教育課程で、農村学生に中退や退学がかなり多く見られることも重要な問題となっている。 ▽医療格差 全国の農村における医療保険制度のカバー率はわずか10%あまりで、80%以上の農民は医療費を自己負担している。公的医療サービスがここ数年不足しているため、医療費は急騰しており、農村の多くの地方では、病気によって貧困になる、または貧困状態に戻ってしまう現象が起きている。 ▽消費格差 農業生産資材費は高く、消耗品の品質は低く、劣悪コピー品が横行している。全体的に見て、農村住民の消費水準は1990年代初期の都市住民の消費レベルにようやく届く状況で、たっぷり10年の立ち遅れが見られる。 ▽就業格差 都市労働人口の登録失業率は5%、農村労働人口の失業率は算出されていない。都市への出稼ぎ人口1億3千万人を計算に入れない場合、農村労働人口4億人の就業率はわずか50%にとどまる。 ▽政府の公共投資格差 国家財政において、農業支出が財政支出全体に占める割合は下降の一途をたどっている。中国の都市?農村間とそれぞれの内部では、制度、市場、公共サービス分野に各種問題が存在するため、都市で認定された公共品は、農村においては公共品とはなりえないという風に、農村の「公共品」は排他的な性質を持っている。この意味からも、これは個人収入と見なされうる。中国の都市?農村収入のうち、この部分における収入は、程度の差こそあれ、低く見積もられており、都市は農村に比べその傾向がさらに強い。 都市部住民の個人収入は消費と貯金に用いられることが一般的だが、農民の純収入はこれ以外に、拡大再生産ための支出もある。農民の拡大再生産用支出を差し引けば、都市と農村の所得格差はさらに大きくなる。 「人民網日本語版」2006年11月22日 |