北京の女流作家、湘湘(趙湘華)の新作、「中国で生きる日本人残留孤児」(以下「同書」とする)が、今年4月に日本で出版された。 同書は日本人中国残留孤児の中国での生活を紹介した作品集。史料によると、日露戦争以来、約半世紀にわたって、日本政府はさまざまな手段で中国の東北地方に約150万人の日本人を移民させた。1945年8月15日の日本の降伏後、日本人難民が中国から撤退する際、多くの大人たちは稀にみる伝染病と飢餓に襲われて命を落とし、たくさんの子供が孤児となった。これらの孤児のほとんどは中国に残り、東北地方の善良な庶民によって引き取られた。彼らは敗戦国の子供であったが、中国で差別を受けることはなく、養父母の暖かい世話を受け、立派に成長した。このことは、本の中で紹介されている全国政治協商会議の烏雲委員、黒龍江省密山市委員会?張愛延副書記、ハルビン市の柳治国シニアエンジニアら残留孤児の人々の経歴からも明らかだ。 もし同書が、残留孤児たちの中国での生活状況をただ記録しただけのものであったなら、読者の心を揺さぶることは難しかったかもしれない。この本が読者の心を捉えて離さないのは、独特なテーマのみならず、細部にわたるまで生き生きとしたタッチで進められるストーリー展開、また物語を進めると同時に、戦争と人生、戦争と人情、戦争と人間味についての深い分析を行っているところだ。ある一節では、日本の残留孤児の心中がとても複雑であることが述べられている。彼らは中国が第二の生涯と暖かい家庭、光に満ちた人生を与えてくれたことを心から感謝しているが、同時に自分が日本人であること、日本が中国を侵略したときに置き去りにされた孤児であることを忘れることができない。この特殊な立場が、彼らの人生を複雑なものにしている。彼らは子供の時期に経験したあの戦争を誰よりも憎んでいるのだ。日本政府と右翼の活動家たちは、悪に満ちた中国侵略の歴史を正視し、再認識するべきだ。さきの戦争はぬぐい去れない記憶であり、アジアの被害国、日本の国民に与えた傷は、今なお癒えることはない。 「人民網日本語版」2006年8月15日 |