青海省とチベット自治区を結ぶ青海?チベット鉄道の開通から1カ月余りが過ぎた。チベット自治区観光局の扎諾副局長は6日午前の記者会見で、7月に同自治区を訪れた観光客が39万1千人に上り、前年同月を5％上回ったことを明らかにした。一方で、観光業をめぐる課題も顕在化しつつある。

扎諾副局長は会見の中で、次の3つを指摘している。

（１）青海?チベット鉄道は全国きっての人気路線となり、新たな「チベットブーム」が巻き起こりつつある。しかし、青海?チベット鉄道の乗車券は手に入りにくい。さらに、団体のキャンセルにより、青海?チベットの旅行社が大量の乗車券払い戻しを余儀なくされるなど、苦情が激増している。

（２）ポタラ宮の入場券が少なく、国内外の観光客から強い苦情が寄せられている。しかし、ポタラ宮は世界文化遺産である上、土と木材の建造物だ。すでに老朽化しているため現在は補修中で、受け入れられる観光客数は限られている。保護を前提とした合理的な利用が必須のため、こうした需給のアンバランスは今後も長期的に続くだろう。チベット観光業の発展に伴い、同問題はさらに深刻化する見通しだ。

（３）青海?チベット鉄道の開通後、旅客が急増しており、受け入れや市場秩序をめぐる新たな課題が増えている。観光業の管理はさらに難しくなり、安全にかかわる潜在的な問題も増えている。調整措置を取るだけでは、発展のニーズに追いつけない。

一方、チベット社会科学院経済戦略研究所の王代遠副所長は「青海?チベット鉄道の開通がチベットの経済発展に与える影響は、長期的で深いものとなる。チベットにとっては、経済構造を調整する初のチャンスとなる」と指摘。「観光業はその先頭にある。現在、チベットの宿泊施設は不足しており、観光業をはじめとする第3次産業の発展は止められないだろう。これは、チベットの経済構造の調整や改善の始まりになる」と述べている。

「人民網日本語版」2006年8月9日