中国の新ラウンドの所得分配制度改革は、目立たつことなく着々と進められており、これはある意味で、一つの「静かな革命」といえるものである。 中国の新指導グループは着任早々、社会の弱者層のためのいくつかの措置を打ち出した。 1、農民の「収入向上?負担軽減」につながる農業税減免政策。 2、各地が相次いで、農村からの出稼ぎ労働者を主要な対象とした最低賃金基準、企業退職者基本養老年金基準および都市最低生活保障基準を引き上げるとともに、都市住民の最低生活保障の適用範囲を絶えず拡大している。 その後、政府はまた中?低収入層に視線を向けた。 1、個人所得税基礎控除額が800元から1600元へ大幅に引き上げられた。 2、『公務員法』が公布?実施され、国家公務員の昇給に法的よりどころが設けられた。 現在、関係部門はまた『所得分配制度改革の推進に関する意見』の策定に鋭意取り組んでいる。 この一連の取り組みが首尾よく、着々と行われたことは、当面の所得分配制度改革がこれまでのような技術的かつ局部的な調整ではなく、系統的な、全方位の大きな変革であることを物語っている。事実、世界の国々との横の比較では、中国住民の所得格差はブラジル、アルゼンチンなどラテンアメリカの国々に近づきつつある。 しかし、所得分配構造から見ると、所得格差は社会?経済のさまざまな分野に存在している。 1、都市部と農村部の格差 国際労働機関(ILO)が1995年に発表した36カ国のデータによると、大半の国の都市部と農村部の収入比1.6を下回っており、2を上回った国はわず3カ国で、中国はこの3カ国の1つである。2004年には、都市部と農村部の所得格差は3.53:1に拡大した。都市部住民がさまざまな補助金、労働保護?福祉、社会保障などのメリットを享受している一方、農民の純収入から各種の徴収金や再生産への投入分を差し引くと、中国の都市部と農村部住民の実際の所得格差の比は約5:1~6:1になる。社会科学院の研究レポートでは、医療、教育、失業保障など非貨幣面の要素を考慮すると、中国の都市部と農村部の所得格差は世界で最も大きなものであるという見方を示している。 2、地域間の所得格差 2000年から2003年まで、西部と東部地域の1人当たりのGDP差は7548元から9250元に拡大している。GDP伸び率の開きも2.54ポイントから8.39ポイントに拡大している。 3、業種間の所得格差 2004年の収入の最も高い業種は証券業の50529元で、林業は6718元で最低となり、両者間の差は6.52倍。このほかに、電力、電気通信、金融、保険、給水?電気供給、タバコなどの業種の従業員の平均給料はその他の業種の労働者平均賃金の2~3倍で、給料以外の収入やさまざまな福祉の面の開きを考慮すると、所得格差は実質5~10倍に上る。 4、企業間の所得格差 同じ国有持株会社でも、2003年の宝山鉄鋼株式会社の管理層の給与上位3人の平均給与は85.34万元で、一方、中国石油化工(シノペック)給与上位3人の平均給与は28.4万元、華能国際の給与上位3人の平均給与は47.34万。同じ石油業界の国有企業のトップクラスでも、年収の格差が5倍以上に達している。 世界的に見ると、1人当たりGDPが1000ドルから3000ドルまで発展した段階は、高度経済成長期になると同時に、さまざまな社会の矛盾が現われる時期になる可能性が大きいと見られている。いくつかの国はこの段階を経て経済が大飛躍を遂げ、先進国になった。しかし、多くの国は社会の矛盾を上手く処理できなかったため、経済の停滞ひいては逆戻りを招いた。 この2つの異なった結果が導かれた重要な原因の1つは所得格差が合理的なものであるかどうかにある。中国の経済発展は現在、すでにこの敏感な時期に差しかかっており、所得分配格差も大きく、所得分配制度改革の加速化は一刻も猶予できないものになっている。 「チャイナネット」2006年8月22日 |