中国では農業での生物災害がひどくなり、外来生物による侵害が深刻化し、これは農産物貿易に影響を与えるだけでなく、公共の安全にも脅威をもたらしています。これを受けて中国農業省はこのほど、新しい植物保護システムを数年内に確立し、生物災害への観測と監視、その防止とコントロールの能力を高めていくことを明らかにしました。 植物保護システムは植物の病虫害を抑制し、農業生産を保障する基礎的なシステムです。数十年来、中国は農業の発展に見合った植物保護のシステムやメカニズムを一応確立させ、食糧の増産、農民の増収、農業の持続可能な発展に大きく役立てました。 ところで、中国は農作物の病気と虫、鼠や一部の有害な草などの生物による災害が最も深刻な国の一つで、これまで発見された農業への有害生物は1700種以上となり、そのうち、1000種余りは大きな害をもち、53種類は世界で最も危害のある有害生物100種にランクされています。 中国科学院動物研究所の張潤志研究員は、「毎年、中国では外来の有害生物による直接の経済的損失は数百億元に上る」と話した上で、「国際貿易額の増加に連れ、外来の有害生物もかなり増え、ここ数年、18種の新しい有害生物が発見された。大まかな統計によると、幾つかの主な外来の有害生物の侵害により、中国農業には毎年570億元の損失が出ている」と語りました。 先進国と比べ、中国の植物保護作業はまだ立ち遅れています。つまり、いま百万ヘクタールの耕地にある病虫監視観測ステーションの数は五つにも達していないのです。それに比べ、日本と韓国はそれぞれ60と98もあるのですから、大きな差です。また、中国現行のネットワークは26種の有害生物しか検出できないのに対し、日本では208種、韓国では51種も検出できるということです。 中国農業省栽培業管理局の王守聡副局長は記者のインタビューに答えた際、「いま、中国では農業の生物災害がひどくなり、これは農産物貿易に不利な影響を及ぼし、生態の安全にも脅威をもたらした。中国のこれまでの農業技術の普及を柱とした植物保護システムは、いまの生物災害の防止という需要を満たせないでいる」と語りました。 王副局長はさらに、「このような状況を改善し、生物災害の観測と監視、それに災害の防止とコントロールの能力を向上させるため、2010年末までに、中国では公共的な植物保護という理念を基に、新しい植物保護システムを確立し、植物保護についての社会管理と公共サービスの機能を強めていく」と語った上で「公共的な植物保護とは、一般的な農業の技術普及だけでなく、公共的な管理であり、これは政府の管理職能でもある。植物の保護は国家の安全や社会の安定にかかわることから、政府がこれを管理する必要があり、市場的行為ではない」と語りました。 伝えられるところによりますと。新しい植物保護システムは、法的基準、観測と警戒、防止とコントロールなどからなっています。 「CRI」より 2006/05/15 |