年に1度の七夕(旧暦7月7日、今年は8月19日にあたる)を迎え、多くの中国人が牽牛と織姫の美しい愛の伝説に再び浸った。すばらしい愛の祝福と同時に、「中国風バレンタインデー」も提唱されている。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。 19日には中国各地で多彩な活動が催された。この金儲けの機会を商店が見逃すわけもなく、上海の各商店街はバラやチョコレートの売り込みに熱気が上昇。閔行区?揚宇生花店の楊さんによると、ここ数日は毎日100件以上の予約が入ったという。いつもの10倍以上だ。 中国では早くも2000年以上前の西周の頃から、牽牛星と織女星の七夕の出会いの伝説があった。「詩経」にははっきりとした記載があり、その後、七夕を題材にした文学作品が編まれ続けた。七夕を迎えるたびに、夏の星空の下でお年寄りに話してもらった牽牛と織姫の一途な愛の物語は、中国の多くの子どもたちにとって大切な思い出だ。 「より大きな困難に遭っても、愛への忠誠を変えない」というのが、中国伝統文化の愛への解釈であり、人々の心に七夕が深く浸透している根本的な原因でもある。 これほど多くのすばらしい内容を持つ七夕が「中国のバレンタインデー」になれないのはなぜだろう。多くの学者や市民が緊急提言を行っている。 北京のある文化会社の総監督、索さんは「中国の伝統文化は一途な愛を決して排除していない。どうしてわたしたちは、身近にある七夕という適切な機会を棄てて顧みず、西洋のバレンタインデーに熱中しなければならないのでしょう?」と率直に語る。 対外経済貿易大学商業学院に学ぶ王洲洋さんは「七夕は中国でいちばんロマンチックな伝統節句」だが、どう過ごせばいいのかわからないと言う。「まさか学校でニワトリを殺して沐浴したり、祈祷や参拝するわけではないでしょう?でも、バラやチョコレートを送ったら、西洋のバレンタインデーをパクっているみたいだし」と、王さんはあきらめ気味だ。 王さんが言うバラやチョコレートは、まさに西洋のバレンタインデーの象徴だ。だが七夕の象徴となると、大多数の人はそれが何なのかはっきりしない。この障害が、七夕の大衆化を難しくしている。 中央民族大学民族学部の王暁莉副教授は「若者は西洋のバレンタインデーについて、その文化的背景は知らないが、バラを捧げ、チョコレートを送るといった形式はわかっている。それに比べて、七夕の習俗はよく知らないという人がどんどん増えている」と指摘する。 「人民網日本語版」2007年8月21日 |