中国人民銀行(中央銀行)は21日、2007年8月22日から金融機関による人民元建て預金?貸出の基準金利を引き上げることを決定した。中央銀行による利上げは今年4度目。 「光明日報」が伝えた。 1年満期の定期預金金利は現行の3.33%から0.27ポイント引き上げられて3.60%に、同じく貸出金利は現行の6.84%から0.18ポイント引き上げられて7.02%になり、その他の各種預金?貸出金利もそれぞれ調整される。 ○物価上昇を抑制 国家統計局のデータによると、食品価格の急激な上昇の影響を受けて7月の消費者物価指数(CPI)は昨年同期比で5.6%上昇した。この伸び率は月別では過去10年で最高。中国のCPIはこれで5カ月連続で昨年同期比3%以上の上昇を続けている。 「今回の利上げの大きな目標は物価上昇の圧力を抑制するためで、これは一般大衆が最も必要とするものだ」と中国人民大学金融?証券研究所副所長の趙錫軍教授は述べている。「今年3月から7月まで物価の上昇率は高まり続けており、これは一般大衆の衣食住に密接な関連がある。特に食品の値上がりが比較的大きい。利上げによって貸付の増加と貨幣流通量を抑制することで、物価上昇をある程度抑制することが可能だ。」 趙錫軍教授によると、利上げは貨幣政策において物価調整の方法の一つに過ぎない。商務部や発展改革委員会は一連の措置をとり、また財政部も低収入家庭に対する補助政策を打ち出しており、これらがプラスの役割を果たしている。 ○預金金利のマイナスを緩和 統計によると、今年1月から7月までのCPIは累計で3.5%上昇している。 利上げ前の銀行の1年定期預金金利は3.33%で、5%の利息所得税を差し引き物価上昇の要素を考慮すると、住民が手にする実際の金利はわずかマイナス0.3365%となる。今回の利上げで1年定期預金金利が3.60%に引き上げられると、実際の利率はマイナス0.08%となり、金利のマイナス額も減少する。 「今回の利上げは主に通貨供給量を合理的に調整するためで、一般大衆の預金金利の損失を減らす上でも役立つ。現在の物価上昇が一般大衆に与えるマイナスの影響を緩和し、預金の金利がマイナスとなる状況を緩和することができる」と国家発展?改革委員会マクロ経済研究院投資所の張漢亜研究員は述べている。 また専門家は、現在のCPI上昇は主に食品価格の上昇だと見ている。今年夏の食糧生産は順調なため、今年の食糧価格は安定に向かっていると言える。豚肉や鶏卵の価格上昇は飼料価格や豚肉市場の需給の周期的な変動、また疫病が比較的集中したことと関連するものだ。そのため食品価格の上昇は年度内のみの現象で、長期間にわたって続くことはない。 ○ローン返済圧力の増加は小さい 今回の利上げの2つの側面を比較すると、1年定期預金の金利は0.27ポイント上昇しているが、1年満期の貸出金利はわずか0.18ポイントしか上昇していない。 「今回は預金と貸出の利上げ幅が異なり、貸出の利上げは小さく、預金の利上げは大きくなっている」と趙錫軍教授は述べている。「預金金利の引き上げは預金している一般大衆の利益を保障する上で役立つ。ローンを持つ一般大衆については、利上げ幅は大きくないためローン返済の圧力の増加は大きすぎるものにはならないはずだ。」 |