中国社会科学院研究員で社会心理学研究室主任、中国社会心理学会副秘書長を務める楊宜音博士は、「中国が長年にわたって『中央帝国』的観念を持っていたこと、近代100年余りのあいだ貧しくて弱い立場にあったこと、外敵による屈辱によって劣等感が生まれたことなどを考え合わせると、いわゆる外国崇拝とは、愛憎入り混じった自己評価だと言える」と指摘した。 調査によると、西洋先進国の人々に対して、48.7%が中国人として「自信がない」と答えた。76.5%が「民族の自信はその国の経済力と大きな関係がある」と指摘。79.0%の青年は「一国の教育レベルと大きな関係がある」との見方を示した。 ある国の国民が自信を持つために重要な条件を聞いたところ、トップ5位の回答は経済力、教育レベルの高さ、軍事力の強さ、進んだ科学技術、政府の行政能力の強さだった。経済力を挙げた回答が84.98%、教育レベルを挙げた回答が74.9%、軍事力を挙げた回答が71.4%だった。 女性作家の顧湘さんは、「ロシア人はとても強い民族の誇りを感じている。ロシアの一般市民は決して豊かではないが、自信を持っている」と指摘した。顧さんは、「中国における外国崇拝は自信のなさが根本的な原因となっている。行き過ぎた自信を持つことを戒める伝統的な風潮や、謙虚で従順であることを求めるしつけのためだ」と分析した。 調査によると、国内メディアの報道姿勢について、青年の43.0%が「西側に関する報道は基本的に真実だ」と答えたのに対し、31.8%は「西側先進国をネガティブに報じている」、52.1%は「西側先進国を美化している」と答えた。このほか、家族が北米や他の先進国に移民を決めた場合、52.1%が「賛成する」と答えた。 中国青少年研究センターの研究員で日本に留学経験がある学者の王小東さんは、「中国人は社会モラルがない」という中国国内のメディアによる大げさな報道に異論を持っている。社会モラルの普及に努めること自体は悪いことではないが、中国人の一部がモラルを欠くことをもって中国全体を否定するような風潮は好ましくない。「外国人と比べてモラルがないので中国人は劣っている」というような考え方はさらに納得できない。 王さんは「国内メディアは中国のよくない点をしばしば強調し、西側先進国は完ぺきだとのイメージをつくろうとする。そうすると、海外に行ったことがない中国人にはゆがんだ世界観ができあがる。これは国内メディアが反省すべき点だ」と指摘した。 トヨタの従業員、王志遠さんは「中国人はチャレンジを好み、新しい事物を受け入れやすく、性格も明るい。今の中国人は改革開放が始まった当初とは完全に異なる。外国のものは何でも良いという時代は過ぎ去った」と話した。 楊宜音博士は「文化に優劣はなく、すべて平等だ。中国語にも『自負』と『自卑』という対立する概念がある。これは過度の自信と自信不足の状態を示している。中国の伝統では、四角四面な態度よりゆとりのある態度が好まれ、福と災いはともにあると考えられ、弁証と中庸の考え方が重んじられてきた。そのような態度と考え方を習得できれば、適度な自信も自然と身に付く」と呼び掛けた。 「人民網日本語版」2007年12月17日 |