注目集める民間企業 「国際金融報」によると、中国の資本市場で最近、外資による買収ブームが起きている。多くの民間企業が外資の注目を集めている。上海産権交易所の8~9月の統計を見ても、外資による株式や財産権の取得の増加ぶりが顕著だ。 上海社会科学院世界経済研究所の張幼文所長は、このほど開かれた「中国マクロ経済動向フォーラム」で、「現在、中国経済の外資依存度は高く、経済成長の相当部分は外資がけん引している。中国は国内市場の発展に力を入れなければならない」と指摘した。外資がこれだけ大量に、かつ頻繁に流入すれば、中国の資本市場にどんな影響を及ぼすのか。 中国の資産価値上昇に潜在性 上海金融研究センターの潘正彦副主任は「8月以降、米国のサブプライムローン危機の影響が拡大し、9月に入りさらに厳しい局面を迎えた。危機の拡大に伴い、世界的に信用不安が起き、直接、間接を問わず資金調達が一定の制約を受けた。このため、国際的に企業買収ブームに陰りが見えたが、中国はサブプライムローン危機の影響をほとんど受けなかったため、海外の投資機関にとって最高のリスク回避先になった」と指摘した。 中国社会科学院金融研究所の易憲容?金融発展金融制度室主任は、「中国金融の拡大が続き、外国資本は中国経済を楽観視している」とした。 外資による買収方式が多様化 今年に入り、外資が買収を目指す中国企業の幅が広がり、資本市場のさまざまなレベルに関心が及んでいる。外資が中国の上場企業を買収するに当たっては、直接支配方式、親会社を通じた間接支配方式、資産管理会社を通じ不良資産を買収する方式、債権を株式に転換し直接的、間接的に上場企業に出資する方式などがある。最近は財産権取引市場で外資の動きが活発で、入札方式で非上場企業の資産や株式を直接買収するケースも増えている。 易主任は「外資の関心は中小企業から大型企業へ、大型国有企業へとシフトしている。これは中国政府の政策緩和によるもので、当然中国の国有企業の再編、改革加速にもつながる。一部の国有企業の資産価値に対する評価は高く、出資構造の分散が求められる中で、成熟した大企業の付加価値が注目を浴びている」と指摘した。 中国の経済発展に有利 外資による買収ブームは中国の資本市場に果たしてどんな影響を与えるのか。廖暁淇?商務部副部長は第3回東アジア投資フォーラムで、「世界の企業買収動向は既に中国に影響を与えている。買収は世界で国境を越えた投資を行う上で主要な方式となっており、外国企業は中国に投資する際に企業買収方式を取っている。これは中国の国有企業改革と経済発展にとっても有利だ」と指摘した。 ただ、一部の専門家は、外国資本の流入はサブプライムローン問題の影響が中国に及ぶ潜在的なルートにならないかと懸念している。一部の企業は他地域での経営リスク問題を理由に中国での発展戦略を変更する可能性があり、サブプライムローン問題が中国に影響を及ぼすことも考えられるとの見方だ。 また、易主任は「今後の外資による買収で中国がどうなるのかをめぐっては、議論がある。バブル発生を指摘する声もある。また、中国の一部企業では資産評価に大きな問題が存在する。多くの企業の資産売却価格は安すぎるとの見方もある。今後、外資による買収案件は後遺症を残しそうだ」と話した。 今後10年はブーム続く 中国の消費者物価指数が数カ月連続で過去最高を更新しているが、外国資本の中国への投資ブームには何ら影響はないようだ。潘副主任は「中国の政策に対する外資の予測はこれまで正確だった。外国企業はまず中国の全体的経済動向を見る。彼らは現在のインフレがそれほど深刻ではないとみている。このため、彼らは中国経済の熱が外部に及ぼす影響はそれほど大きくないと判断している」と分析した。 易主任も潘副主任も異口同音に、問題や隠されたリスクが存在しても、中国の政策が段階的に緩和され、資本市場が開放されていく中で、今後10年は外資による買収が中国の資本市場で注目され続けるとの見方を示した。 「人民網日本語版」より2007年10月12日 |