西原春夫団長 今年は中日国交正常化35周年と遣隋使派遣1400周年ですが、これを記念する日本のマスクロードプロジェクトの「楽劇真伎楽」の中国公演が26日、北京の中国人民対外友好協会で行われました。公演に先立って、中日友好協会の許金平秘書長と「楽劇真伎楽」代表団の西原春夫団長が挨拶しました。 中日文化スポーツ交流年の旗 許金平秘書長はその挨拶で「『楽劇真伎楽』の中国公演を熱烈に歓迎する。今年は、中日国交正常化35周年であり、また、中日文化スポーツ交流年でもある。両国の共同の努力の下に、両国の友好関係はいま、良好に発展している。このたびの「楽劇真伎楽」の中国公演は必ず言語の障碍を乗り越え、中国の観客のみなさんに受け入れられ、相互の理解を深め、両国の友好促進に積極的な影響を及ぼすに違いない」と語りました。 入場 また、「楽劇真伎楽」代表団の西原春夫団長は中日友好協会に感謝の意を表したあと、「ステージでかぶる仮面にはそれぞれの立場と感情が込められている。仮面をかぶった俳優は年齢や性別、民族の違いを乗り越えた。対抗と戦争をなくすという考えがこの仮面劇を披露する趣旨であり、特にこれはその背景にある「和」を重んずるアジアの世界観の中に横たわっていると思う。このような観点からご覧いただければ幸いだと思う」と述べました。 獅子 今回の北京公演は「天の章」と「地の章」、それに「人の章」からなりますが、公演が始まると、仮面をかぶった俳優たちは玄関から入場してきました。そのときの白い仮面はとても印象的で、観客に予想外の迫力を与えました。また「地の章」の公演では、中国の有名な京劇芸術家張銘栄さんと梁谷音さんも出演したのです。 梁谷音さん 「真伎楽」はアジア諸国の優秀な芸術を含んでおり、日本と中国の芸術家だけではなく、韓国、インド、それにセネガルの俳優たちもこれに参加しました。 尚、今回の公演は、北京のほか、西安、上海、揚州でも行われます。 古代、ユーラシア大陸に共通の文化圏があった時代の芸能「伎楽」は今は幻となって、正倉院や法隆寺に仮面を残すばかりとなっていました。創始者の狂言師野村万之丞さんは10年間にわたり、アジアをフィールドワークしてその地に残る芸能、仮面、舞踊、身体表現を研究し、「真伎楽」をアジアの俳優やダンサー、音楽家たちと再生することに努め、これは、これからの日本の、アジアのあり方に繋がると確信して取り組んできたものです。そして2001年に「楽劇真伎楽」は誕生しました。 残念なことに、野村さんは2004年に亡くなりました。しかし、野村さんが十年を費やして作った「真伎楽」は、いまでは中日両国で好評を博しています。 「中国国際放送局 日本語部」より2007年10月28日 |