世界貿易機関(WTO)加入以降、中国経済は瞠目すべき成果を上げてきた。この過程において、中国の一般庶民はどのような実質的利益を享受してきたのだろうか? 以下にあげるデータによって、これに対する答えが得られるかもしれない。物価が基本的に安定を維持していることを前提として、2001年~2005年の間における中国人一人当りのGDPは1038米ドルから1700米ドルに増加し、一人当たり貯蓄高は5780元から10787元に、都市住民一人当たり可処分所得は6860元から10493元に、コンピュータ普及率は13.3%から41.5%に、自家用車普及率は0.6%から3.4%にそれぞれ上昇している。 この5年間のグローバル経済システムに対する参与は、中国の改革開放を新たなステップに引上げたばかりではなく、全面的な小康社会(ややゆとりのある社会)構築の基礎を固めている。一般庶民の生活に対する具体的な影響は、主として以下の3方面に表現されている。 第一に就職の安定、収入の増加である。この5年間、中国は多国間貿易体制への参与による利益が逐次実現し、輸出額は年平均25%の比率で連年上昇しており、輸出の経済成長率に対する貢献度は1/3を越えている。こうした過程の中で、外資投資企業は輸出増加の主力となっているばかりではなく、就職レベル安定維持の主要な要素になっている。2001年~2005年の間、わが国の都市新増就業人数は毎年800万~900万に達し、都市登録失業率は4%前後の低水準をキープしている。 第二に福利厚生の顕著な向上である。2001年~2006年の間、わが国の輸入関税の全体レベルは15.6%から9.3%に下降した。同時にわが国は化学肥料、セダン、オートバイ及び重要部品、テレビ、テープレコーダー、カメラ、腕時計など13品目に対して非関税措置を採っており、農産物の関税割当制限も緩和されている。貿易障壁の解消によって輸入製品の増加、価格下降が導かれ、国内同種製品の価格、品質に対する大きな圧力を生み出しており、さらに収入が増加した中国一般庶民の消費レベルを向上させている。2001年~2005年の間、わが国消費品小売総額は年平均12%のスピードで増加しているが、成長を支える製品の多くは自動車、通信器材、オーディオ?ビデオ製品、内装材料など一般庶民の生活レベル、質の向上に関する製品である。 第三に法制概念が日増しに強化され、社会生活が秩序正しくなっていることである。この5年間に、国の立法機関、中央政府が制定、修正、廃止した法律、法規、部門規定は2000余件に達し、基本的に工業、農業、サービス業の三大経済部門、貨物貿易、サービス貿易、投資、知的財産権保護の4分野をカバーする国際規則に軌を合わせた国内法律制度の枠組みが確立されている。市場経済規則の逐次整備は政府行政行為と企業生産経営活動を規範化させているばかりではなく、公民の法制概念と規則に対する意識があまねく増強されているので、社会生活秩序が保障され、消費者の根本的利益が保護されている。 当然のことながら、WTO加入以降に発生した一連の問題を無視することはできない。たとえば、東部と西部の収入格差、都市と農村の収入格差の拡大、国有企業の構造調整によって発生した失業、再就職などの問題である。しかし、消費者であり労働者でもある一般庶民は、全体としてみればこの5年間にもたらされた《利益》は《弊害》より大きいと客観的に認識している。そしてさらに長期的な角度から見れば、グローバル経済システムを除いて中国経済の高度成長、国民福利の全面的向上を他に求めることは不可能である。したがって、上述の自身の利益にかかわる問題を解決する手段について、中国の一般庶民は積極的にわが国の開放姿勢をさらにグローバル経済システムに融合させなければならないという基本的な共通認識を持つべきである。 (本文著者の張斌氏は東華大学工商管理学院副教授) 「チャイナネット」2006/12/11 |