相互補完であるが、相互不信 2005年の中日関係は史上最低となった。その際、日本内閣によって行われたアンケート調査の結果によると、中国に対し好感を保つ日本人は、調査対象のわずか32%であった。一方、2005年に行われた今ひとつの調査によると、日本の国際的影響力について、71%の中国人はマイナスの評価を与えている。その後、両国関係は改善し始めた。2006年10月、安倍晋三首相の中国訪問および2007年春の温家宝総理の答礼の訪問は、両国関係にとっての「氷を砕き、氷を溶かす旅」と見なされている。 中日関係の基盤はそれほど悪いものではない。両国の経済関係について、「競争」より「相互補完」のほうがよりぴったしであろう。中日は互いに最大の貿易パートナーであり、過去5年間の貿易額は倍増となっている。「日本の新工場」と見られる中国には、2.5万社の日本の会社が投資して工場を開設している。 安全面で、中国の曹剛川国防部長が日本を訪問したばかりで、これによってこの三年間も停滞して前進のなかった両国間の軍事訪問が回復した。また、日本の海上自衛隊と中国海軍の相互訪問についても合意した。朝鮮半島の非核化は両国にとってプラスとなるものである。両国は東アジアの平和と安定のために努力し、漸進的な地域統一を求めている。相互訪問している観光客の数は絶えず増え、毎日に1万人を上回るものとなった。教育分野での両国の交流も盛んになっている。 にもかかわらず、中日両国は相変わらず相互不信の関係にある。中国がミサイルを発射して自らの古い衛星をぶち壊したこと、第二次世界大戦期の「慰安婦」問題について安倍首相が戦争の責任を逃れる談話を発表したこと、日本が第二次世界大戦期におけるアジアの国々への「侵略」を否定していること、日本政府は「南京大虐殺」をただの「事件」と見なす教科書を認めたことなどがそれである。 これらの問題は、両国関係の改善のぜい弱さ、両国関係の改善を促す面で、国内の政治的基盤の弱さを示している。 「プライド」のために努力する 中国と日本にとって、「プライド」といえば、「歴史」に触れることである。 中国は19世紀中期から文化大革命までの120年間、外国の侵略、内戦、政治的混乱のために、尊敬される地位と優位を失っていた。それからの30年間、中国はこの地位と優位を回復させるために全力を尽くした。2008年の北京五輪を国際舞台でのショーであると中国の人々は見ている。 しかし、自信満々の中国から見れば、日本の憲法改正、軍隊の正当性の回復、集団的自衛権を獲得して「普通の国」となることは戸惑いのもとであろう。中国のほとんどの人々にとって、日本の軍国主義はまだ姿を消しておらず、休眠状態のままにあるのである。日本とアメリカが台湾問題に関与を示すのは、中国政府を困らせている。 20世紀上半期には、日本は東アジアで最強の軍事力を持っていたが、今から見れば、その地位の回復はかなり難しいものである。 60年の歳月を費やして「責任を持つ民主主義の国」という高い評価を手にし、自らの業績や積極的な対外援助をプライドとする日本が隣国から「過去の罪を反省しなさい」としばしば言われ、いらいらするのは当然だろう。日本は中国の台頭に懸念を示し、日本側が最も関心を示しているのは、中国の国防と軍隊の近代化、アジア経済でリーダを目指す中国は日本を超える可能性である。 |