青海省のゴルムドとチベット自治区のラサを結ぶ青海·チベット鉄道が7月1日、いよいよテスト運行に入る。どんな列車がチベットに乗り入れるのか? 2001年の着工以来、人々はずっとこの話題に関心を寄せ続けている。このほど、北京の日刊紙「新京報」の記者が列車内部の特徴を伝えた。 ▽高原情緒を演出する内装 車内の装飾には、チベット族独特の要素が随所に取り入れられている。入念に設計された列車の外観は、「緑の長竜」を思わせる。列車はすでに、全線でも最も海抜の最も高いゴルムド——アムド区間での試運転をクリア。神秘のベールに包まれたこの列車に乗れば、青海·チベット高原を体感できる。 内装のデザインには、北京に住むチベット族の学者や専門家の意見が取り入れられている。列車の窓の模様やカーペット、カーテン、テーブルクロスの色、模様に至るまで、入念なデザインが施され、チベット族の民族情緒が色濃く味わえる。 車内にはデジタルディスプレーが設置され、中国語、英語のほか、チベット文字で車内の温度、列車の時速、到着駅情報などが表示される。また、車内の各所の案内表示は、すべてこれら3言語で書かれている。列車は、一等寝台車、二等寝台車と柔らかいハイバックシートの普通車、食堂車からなる。車内装飾はすべてチベット風で、格調の高さは豪華ホテルに引けを取らない。 ▽安全面の信頼性を強化――酸素供給を確保する2つのシステム 普通車の座席下にある酸素吸入用のチューブ接続口 「世界の屋根」といわれる青海·チベット高原は、標高が高いため、気温が低く、空気が薄い。しかし列車内では、酸素の濃度、温度、気圧がバランスよく維持される。1両ごとに、航空機と同じような2つの酸素供給システムが備えられている。1つは、「拡散式」。これは、混合空気調整システムにより、空気に酸素を供給し、車内の酸素量を適切な状態に維持するもので、「酸素バー」のような環境を作り出す。もう1つは、独立したマスク式酸素吸入システムで、酸素不足の乗客が適宜、利用できるようになっている。酸素量の制御装置や酸素ボンベ、及び汚水貯蔵器が、各車両の底にある密閉容器の中にそれぞれ収納されている。 列車は、青海·チベット高原の強い風、砂塵に加え、強い紫外線から乗客を守る役割を担う。車両の窓の二重ガラスの内側には、紫外線をカットするシートが貼られている。高原を走る列車の揺れ対策として、各車両にはエア式の防振装置を搭載。万一の緊急避難に備え、各車両に非常口も設けられている。このほか、高原特有の地を這うような低い雷への対策として、絶縁?避雷装置も用意されている。 ▽ 人への配慮――設計に垣間見える乗客への心遣い 普通の列車に比べ、青海·チベット鉄道の車両設計は、乗客への心遣いがより徹底している。車両前後の乗降口はセンサー式のドアで、軽く手を触れるだけで自動的に開閉する。車内の蛇口もタッチ式で、スイッチを押せば安全に水を使用できる。 トイレもより広くなり、水を流す時は手でセンサーに触るだけでよい。障害者が使いやすいよう、車イスで出入りできるトイレもある。また、どの車両にも共用の洗面所、ゴミ圧縮機、給湯器、酸素制御室が1カ所ずつ設置されている。 ▽ 設計時速は時速160キロ 北京からラサまでの鉄道は全長4000キロ以上。しかし旅客列車の片道運行時間は、わずか2日2晩だ。 この区間を走るのは、最新の25T型列車で、設計時速は160キロ。試験運転では、時速120キロを出している。「世界の屋根の屋根」と呼ばれるタングラ峠も、時速80キロで通過したという。 ▽沿線への「垂れ流し」ゼロ――真空を利用して排泄物を収集 沿線の高原環境を保護するため、列車は真空を利用して排泄物と汚水を集める最新装置を採用した。決まった場所でゴミや汚物を排出するよう、厳格に実行することで、旅客列車として始めて、排水と汚物の完全回収を実現した。 青海·チベット鉄道では、車外に向けての排泄行為は禁止される。列車のトイレは真空式集便装置を採用し、廃棄物と排水には専用の回収設備がある。真空集便装置によって、汚物は便器から小さな容器に移され、さらに大きな容器に移される。列車が終点に到着した後、汚物回収車によって運ばれ処理される。 また車内では、列車専用ごみ圧縮機によって、そのほかの廃棄物も処理し、沿線の環境がごみで破壊されないようになっている。 「人民網日本語版」2006年6月13日 |