中国では伝統的に「男は外で働き、女は家を守る」という家庭観が主流だった。しかし、「専業主夫」の登場で、こうした伝統的なモデルが変容しつつある。 28歳から32歳までのホワイトカラー男性を対象に、北京など4都市で行われたアンケートでは、かなりの人が、条件さえ許せば「専業主夫」になりたいと考えていることが分かった。「専業主夫」願望を示した回答は北京で22%、上海で73%、広州で34%、深センで32%に上った。 「おーい、ご飯にしよう」――。楊文輝さん(32)は毎日、腕によりをかけて料理を作り、仕事から帰ってきた妻と食卓を囲む。「自分の作った料理を勢いよく平らげる妻を見ると、やりがいを感じる」と楊さんは目を細める。 楊さんはかつて雑誌社に勤めていた。「仕事はずっと変わり映えせず、昇進の余地も少ない。一方、妻は掛け値なしの仕事人間。結婚するとき、子どもが生まれたら妻は仕事、自分は家事という役割分担をはっきり決めていた」という。 社会学者の分析によると、「専業主夫」現象を生む要因は3つある。一つ目は、妻のキャリア志向が強く、収入や仕事の将来性にも恵まれ、家事をする暇もない程である一方、夫の職場での待遇や仕事がぱっとしないケース。二つ目は、長期間にわたる専業主婦の生活に飽きた妻が、職場への復帰を渇望し、夫との交代を強く求めているケース。三つ目は、夫の仕事がフレキシブルで、家で仕事も家事も両立できるケース。 ここ数年、人々の「成功した父親」像には変化が生じている。アンケートに回答した若い男性にも、「成功した男性」の定義に、「よき父親」を加えるべきとする人が多い。 「専業主夫」について、自営業を営む女性の馬麗さんは、「業界でも、そういうタイプの家庭が少なくない。皆うまくいっている」と肯定的だ。 一方、男性記者の王元さんは、「新しい役割分担のあり方は理解できるが、個人的には男として、外で働いて家族を養うのが一番だ」と話す。 取材の中で、「女は外で働き、男は家を守る」を実践する人の中にも、伝統的な観念を考慮し、家庭の実情を人に知らせたがらない人もいる。「甲斐性なしの夫」「かあ天下」などと、世間に笑われるのを恐れるからという。 「専業主夫」の1人、周偉さんは、今ではもう役割分担に慣れてしまったが、年越しなどの祝い事で親戚?友人たちが集まった席で、周さんの家庭のあり方に疑念を示す人もいると嘆く。しかし「他人がどう見ようと、2人の生活が幸せであることが何よりの証明」と達観する。 「人民網日本語版」2006年7月20日 |