中国は昨年、国内総生産(GDP)1万元当たりのエネルギー消費率を4%引き下げるという目標を達成できなかった。このため2010年をめどに同率を10%引き下げるという拘束力のある目標を達成することが一層困難になった。しかし政府は昨年、省エネや汚染物資排出削減に向けてさまざまな取り組みを行い、前向きな成果を上げた。単位GDP当たりのエネルギー消費率が、過去3年間の上昇傾向から、1.23%低下して下降傾向に転じ、転換点がみえたことは喜ばしいことであり、方向性の転換といえる。 省エネ?汚染物資排出削減の取り組みが直面する厳しい情勢をみると、国の取り組みの管理方法には転換が必要であり、法律的手段および経済的手段を強化して取り組みを強化すべきといえる。国は長期にわたり、各レベルの地方政府や行政部門の責任者の業績を評価する指標を定めているが、経済総量であるGDPと財政収入を1番目の、省エネ?汚染物資排出削減および環境保護に関する指標を2番目に置いていた。今年の政府活動報告では、「省エネ?環境保護の目標責任制度を真剣に実施し、厳格な責任制度を実施するべき」との見方が示されており、ここから中央政府の決意がうかがえる。 国は「省エネルギー法」の制定作業を急ピッチで進めており、今年6月には全国人民代表大会常務委員会に提出し、審議にかけられる見込みだ。同法を打ち出した後には次の措置を取る必要がある。▽省エネにプラスになる消費税政策を制定し、省エネや環境保護に配慮した製品やエコ住宅の購入を促進する▽資源節約にプラスになる資源税政策を制定する▽省エネ技術?設備の輸入を奨励し、高エネルギー消費、高汚染、資源性製品(一次製品)の輸出を制限する関税政策を制定する▽エネルギー消費の制限にプラスになるプロジェクトに「生態税」を制定する――などだ。きっちりとした法律に基づいた納税を奨励するため、省エネに務めれば納税額が減り、省エネに配慮しなければ納税額が増える仕組みをつくるべきであり、これにより現在みられる、違法行為をするとコストが安くなり、合法であればコストが高くなるという珍現象を改めなくてはならない。このほか、国は公共財源を利用して省エネ基金を設立し、省エネ製品の普及や省エネ技術の開発研究への補助金?奨励金に充てるべきだ。 (筆者の王維城氏は、全国人民代表大会常務委員会委員および全国人民代表大会環境?資源保護委員会委員) 「人民網日本語版」2007年5月24日 |