中日「21世紀中国首都圏環境緑化モデル拠点」共同事業の第3期活動が、中日国交正常化35周年記念と第36回世界環境デーを前に、北京で始まった。最大の出資者であるトヨタ自動車は今回も1100万元の資金提供を行う。中国科学院は全体計画の策定に専門家を派遣するほか、技術指導と普及活動を強化し、地域の主導産業を育成して、地域経済の発展を促す。 ここ数年、北京地区を度々襲う黄砂現象が、社会各界の広範な関心を呼んでいる。北京での黄砂現象の主要原因の1つは、周辺地域の緑地の減少と土壌浸食の深刻さによるものだ。北京に迫る砂漠化の最前線は、市中心部から北に180キロの河北省豊寧満族自治県で、北京市の黄砂現象の「発生源」の1つにもなっている。 同地区の深刻な砂漠化現象に対し、中国科学院の中日科学技術?経済交流協会、日本の地球緑化センター、河北省林業局、トヨタ自動車は01年4月に中日「21世紀中国首都圏環境緑化モデル拠点」共同事業を立ち上げた。伐採?放牧の禁止による森林回復、植林による緑化、農業生産構造の改良、農民の貧困脱却などが主な内容だ。 第1期活動は01年4月から04年4月まで実施され、トヨタ自動車が1100万元を投じ、緑化面積は1500ヘクタールに達した。うち伐木?放牧禁止による森林回復面積は359ヘクタール、牧草栽培面積は12ヘクタールに達し、重度砂漠化地区に固定林?防砂林帯33.5リニア?メーターを建設し、砂丘20カ所以上を固定して、土壌浸食と砂漠化を効果的に抑え込み、生態環境の基礎的な改善を達成した。第1期活動は03年9月に専門家による評価を通過した。 第2期活動は04年から07年4月までの3年間で、トヨタ自動車が1100万元を投じ、防砂林、経済林、牧草地など998.2ヘクタールが形成された。期間中、中日両国の専門家は数多くの環境調査(気象観測、植生調査、地下水位、土壌調査など)を実施し、沙漠での植樹による緑化技術、砂漠化進行地区での防砂?固定による緑化技術、経済植物の植樹と防風?固定技術、経済生態型防護林の管理技術、牧草管理技術など、一連の沙漠管理技術を確立した。さまざまな技術の普及により、現地の生態環境は目に見えて改善された。これを基礎に経済林の植樹、薬草の栽培、酪農の発展などを推進したことで、産業構造が調整され、農民の所得が増加した。同時に、交通、飲用水、電力、通信、教育、医療、衛生などの環境も改善された。 今年4月11日から13日の温家宝総理の訪日で、中日両国は「環境保護協力の一層の強化に関する共同声明」を発表した。中日「21世紀中国首都圏環境緑化モデル拠点」共同事業は、まさにこの大きな背景の下で、第3期活動計画の始動を決定したのだ。 中日双方は協力を継続し、トヨタ自動車が1100万元を提供して、3年で500ヘクタールの植樹を行う。河北省豊寧満族自治県に「21世紀中国首都圏環境緑化交流センター」の共同建設も計画している。同センターは、関係研究機関と現地林業部門が、華北の乾燥地域で農業?環境保護技術を普及し、新しいタイプの農民と農業科学技術者、発展途上国の環境保護技術者を育成するための拠点、また中日両国の10年間の協力の成果を展示する窓口、青少年向けの環境保護PRと科学普及の拠点となる予定だ。 第1期、第2期活動中には、日本の地球緑化センターの高橋成雄理事長が日本緑化ボランティアを、トヨタ自動車の稲葉良睨(いなば?よしみ)副社長が自社従業員を何度も組織し、計千人以上を豊寧の植樹活動に派遣した。第3期活動開始2日目の5月26日にも、稲葉副社長率いるトヨタ自動車の環境保護ボランティア約100人が、新たな希望を代表する1本1本の苗木を豊寧の地に植える姿が見られた。日本の有識者の力強い支援の下、将来の豊寧の生態環境は、さらにすばらしいものへと変わるに違いない。 「人民網日本語版」2007年6月5日 |