近年、中国の貿易黒字は急増し続けており、特に2006年には、その総額は1775億ドルに達し、前年度比755億ドルが増えた。中国税関総署の牟新生署長は、貿易黒字形成のその原因を分析し、現在の黒字は正常な範囲内にあることを明らかにした。 改革開放して以来、中国の対外貿易は急速な発展を遂げており、加工貿易を主とし、外資系企業が輸出入の主体となる貿易メカニズムが徐々に形成された。この特殊な貿易メカニズムは、中国に高額の貿易黒字が生ずる主な原因となる。 加工貿易業に対する保税政策を実施しているので、外資系企業にとって加工貿易業への投資は非常に魅力のある選択となっている。2006年に、中国は630億ドルの直接投資を利用し、3年連続で600億ドル以上の外資利用規模を保っているが、その7割近くの資金は製造業に投入されている。国内市場は限りがあるので、外資系企業にとっては、製品を輸出しなければならない。現在、中国における外資系企業の輸出額は中国の貿易総額の6割以上を占めており、しかも年を追って上昇の勢いも示している。これは黒字の急増を促すいま一つの要因となる。 その他、以下の諸要素も黒字の増大を促す理由となっている。 まず、一部の企業は輸出税還付率の調整以前に、輸出を急いだこと。たとえば、鋼材、服装などの業種は製品を集中的に輸出した。次ぎに、人民元切り上げのプレッシャーも輸出を促すことになった。三、輸出コストの上昇は輸出製品の価格の引き上げをもたらしている。最後に、一部の先進国?先進地域は、中国に対して、ハイテク?先端技術及び製品の輸出をシャットアウトする措置をとっているので、中国経済の発展及び産業のグレードアップにとって不可欠な技術及び製品の輸入の不足をもたらしており、貿易黒字の増加を加速している。 バランスの取れた貿易であるか否かを評価する際、貿易黒(赤)字額の同年度輸出入総額に占める割合は国際的に通用している指標である。その割合を10%以内に保つなら、貿易黒(赤)字は正常な範囲内にあると見られる。つまり、10%はバランスを失った貿易を評価する?警戒ライン?と見られている。2006年に、中国の貿易黒字は輸出入総額の約10.1%を占め、?警戒ライン?にやっと触れたにすぎない。 世界でトップの輸出国ドイツの状況を見ると、1952年から2005年にかけての54年間に、ドイツの対外貿易はすべて黒字で、貿易黒字額の同年度輸出入総額に占める割合が10%を上回った年度は12年度であり、最高は12.7%を記録した。それゆえに、現在の中国の貿易黒字は正常な範囲内にあると見られている。 ?チャイナネット?2007年2月27日 |