オリンピックは世界的な祭典であり、開催都市は世界各地から来る人々を、連日大量に迎え入れなければならない。どのようにすれば大量の人々を短時間で競技場まで運び、また迅速に解散させることができるのだろうか。スムーズな都市交通の確保は、オリンピックを成功させる基本要素の1つだ。オリンピックは一国の交通、特に都市交通への重大な試練であると同時に、都市交通政策の行方を深く考える良い機会でもある。(文:欧国立?北京交通大学経済管理学院教授)
都市化の加速にともない、中国の都市交通は次第に都市の社会と経済の発展に影響を与える主要要素、さらにはボトルネック要素にもなっている。仕事や生活における交通面の「支出」(費用、時間、精力を含む)や、都市交通の社会的コストは日増しに高まっている。都市交通問題の解決策に対する各方面の関心も高まっている。 公共交通の整備に力を入れようというのが、すでに人々の共通認識となっているが、現状は決して楽観を許さない。2005年の北京を例に取ると、徒歩以外の交通手段では、公共交通を選択する市民は約30%。一方、自動車は1986年の5%から2000年には23.2%、2005年には29.8%へと持続的に上昇し、絶対的なマイナーから、最もメジャーな原動力つきの交通手段へと躍進している。同時に自転車の割合も目に見えて減少し、2000年から8.2ポイント減の30.3%となった。北京市民にとって、徒歩や自転車が今も重要な外出手段であることに変わりはないが、この割合も自家用車の保有台数の激増とともに減少を見せている。 オリンピックは1つの段階的イベントに過ぎないが、都市交通問題の解決は長期的な課題だ。中国の都市経済がたゆまぬ発展を続ける今日、都市交通問題の解決には、長期的?総合的な都市交通政策の策定が必須だ。北京市は当面、以下の問題の解決に力を入れるべきだ。 (1)軌道(レール)交通の整備に力を入れ、軌道交通時代の到来を呼び込む。軌道交通は他の輸送方式と比べ、1人あたりの資源消費が少ない、汚染が少ない、必要面積が小さい、輸送量が多い、安全、時間の正確性などの特徴があり、都市の交通運輸において日増しに重要な役割を発揮しており、大都市の公共交通整備において最優先されるべきだ。 (2)交通中枢の整備、および交通の一体化を強化する。都市交通はバス、地下鉄、鉄道、タクシー、自転車などさまざまな交通手段で構成される。こうした異なる交通手段間の乗り換えの利便性が、都市交通の効率を相当程度決定する。 (3)交通需要の管理を強化する。交通需要の管理とは、経済的?法的手段を通じて、交通需要を科学的に調整し、不合理な交通需要を低減し、集中している交通需要を分散させ、需要と供給の相対的な均衡を図ることで、都市交通システムの効果的な運行を確保し、交通渋滞を緩和し、都市の生態環境と生活環境の質を改善させることを指す。 |