国務院の方針に従い、テスト地区で実施されていた農村部における最低生活保障制度が、今年から全国に拡大される。同制度は多くの農村貧困人口に最低限の生活保障をもたらす「セーフティネット」となる。では、農村最低生活保障制度の資金財源は何か。対象者をいかに認定するのか。制度の規範化や管理はどのように進めるのか。人民日報はこのほど、民政部の李立国副部長にインタビューした。 ○農村最低生活保障制度が諸段階の確立 2002年の第16回中国共産党代表大会以降、一部の省、自治区、直轄市では各地の経済発展レベルに応じ、相次いで同制度が導入された。昨年末時点で全国24の省、市、自治区で同制度が導入され、1509万人が対象となった。 こうした流れを受け、共産党中央委員会、国務院は昨年12月に中央農村経済工作会議を開き、全国で同制度を導入する重要決定が下された。今年6月末までに全国31の省、市、自治区に同制度が創設され、2068万人が対象となった。 同制度の目標は、条件に合致する貧困農村住民を最低生活保障の枠組みに編入し、安定的、持続的、かつ効果的に農村貧困人口の最低生活保障問題を解決することだ。31省、市、自治区の状況からみて、今年末までにすべての貧困農村住民が最低生活保障の対象となる見通し。 ○中央政府、30億元を投入 経済発展の地域格差とは関係なく、中央政府は農村最低生活保障に必要な資金に関し、同レベルの財政予算に編入するよう求めている。財政部は今年、30億元の補助金を計上した。補助金は既に地方に向け支出された。同時に中央政府は地方の各級政府に最低生活保障への予算配分強化を求め、特に省レベルでの予算を活用し、最低生活保障の財源強化を促した。 昨年までに24の省、直轄市、自治区では農村最低生活保障制度が整備され、最低生活保障と特別貧困世帯支援に55億5000万元の資金が投入された。今年上半期に地方の各級政府は35億6000万元を投入、昨年の予算額と下半期の予測に基づくと、地方財政による通年の投入額は昨年を上回る70億元に達する見通しだ。 ○特に困難なグループを重視 国務院の通達によると、農村貧困人口とは、世帯の1人当たり年間平均可処分所得が各地の最低生活保障基準を下回る農村住民を指す。主に病気や身体障害、高齢による体力低下、労働能力喪失、劣悪な生存条件などで、恒常的に生活が困難な農村住民だ。最低生活保障基準は、全国レベルでは主に国家統計局が毎年発表する農村貧困線を参考にする。2005年は683元、06年は693元だった。地方は各地の実際の状況に基づき基準を設定する。1人当たり年間平均可処分所得が最低生活保障基準を下回り、各地の最低生活保障条件を満たした場合、最低生活保障制度の適用を申請できる。申請後は収入調査、審査、認可を経て同制度が適用される。 同制度では、高齢者、身体障害者、孤児は特別サービスを受けられる。特別サービスは2つの方面に分類される。まず、所得レベルがさらに低く、生活状況が困難な状態にある場合、より手厚い補助を行う。また、最低生活保障給付金を受け取りにいくのが困難な場合、扶養者、後見人、隣人が代理で受領することを認める。末端の民政組織幹部や自治組織幹部による訪問サービスも行う。農村最低生活保障制度の運用に当たっては、特別な困難に直面にしている人々に対する制度適用状況に関心を払っていく。 「人民網日本語版」2007年8月21日 |