このほど閉幕した中央経済会議では、内需を拡大し、消費を刺激するため、住民の収入増に力を入れるという政府の重要な政策的な動きが見られるようになった。 長期にわたって、投資と対外貿易は中国経済の伸びを牽引する主な力と見なされてきたが、消費が中国経済に占める割合は、世界の平均レベルを20ポイント下回る53%にとどまっている。ところが、アジア開発銀行中国駐在事務所の経済学者荘健氏が語っているように、「消費こそが健全かつ持続的な経済の伸びを牽引する力である」。 今回の中央経済会議は、内需拡大を中国経済の伸びの長期的な戦略と基本的な立脚点として確認し、住民の消費、特に農民の消費の伸びを内需拡大の重点とすることになった。 経済学者は、消費を拡大させることは、投資の増加を促すことほど生易しいものではないと見ており、投資の増加は、政府の権限の増強につながることになるが、消費を刺激することは逆に、政府が歳入の一部を住民の収入増に当てなければならなくなると語っている。 アナリストは、国は2006年から、都市部の低収入層の生活保障金、定年退職した人たちの年金、農民に対する手当てなどを引き上げるなどの措置を取って、住民の収入増のために力を入れていくことになると見ている。 「消費レベルの向上を達成するためには、都市部と農村部の住民の収入を同時に増やす必要がある」と、中国経済体制改革研究基金会の樊網秘書長は指摘している。農村部の消費の伸び率は長期にわたって、都市部をはるかに下回っており、とくにここ十年来、小規模の県レベルの市及び農村部の消費市場の伸び率は都市部より5ないし8ポイント低下しており、8、9億の人口を抱えている農村部は、中国の消費市場の成長をひどく制約している。 中央経済会議では、来年から、全国的範囲で農業税を撤廃するほか、国道、飲用水施設、電力施設、通信ネットなどのインフラ整備や、教育、文化、医療などの分野に巨額な資金を投下することが明らかにされた。「これらの措置は、農民の消費能力の向上、農村の消費環境の改善及び農民の消費に対する期待の安着のために役割を果たすだろう」と、荘健氏は評価している。 中国人民銀行の最新の統計によると、現在、中国の住民の預貯金はすでに13兆元にも上っているという。しかし、巨額の貯蓄とは対照的に、十年来、中国の最終消費率は平均59.5%で、世界の平均レベルを20ポイントも下回っている。 住民の消費に影響を及ぼすと思われている要素の中で、収入以外では、住民の消費マインド、消費傾向、消費に対する期待なども含まれている。現在、住居、医療、教育などの分野における生活コストの高騰は、住民の財テクを貯蓄へと導き、消費を減少させる重要な原因となっていると見られている。 国家発展改革委員会中国マクロ経済学会の王健常務副秘書長は、雇用、教育、医療など、人々がもっとも関心を寄せている問題を上手に解決できなければ、人々に財布のヒモを緩めさせることもできないと述べ、社会保障システムが完備されてこそはじめて、消費の拡大が可能であると語っている。 「チャイナネット」2005年12月19日 |