北京に出稼ぎに出ている河南省出身の姜松齢さんは、キッチン用品の販売責任者で、自分の携帯電話番号を宣伝用のパンフレットや名刺に印刷し、携帯電話を業務連絡の手段としている。武漢彪記宅急便会社で働く廖さんは、外出の際、携帯電話を身につけているかを確認してから出かけるようにしている。携帯電話が無いと顧客からの連絡がつかないからである。 今年6月末までに、中国の携帯電話ユーザーは延べ5億人を突破した。平均すると3人に1台以上普及していることになる。携帯電話は多くの労働者にとって、費用を負担できる普通の生活用品となった。 ○需要が携帯電話ユーザーの増加を促す 近年、中国経済は工業化、都市化が進み、収入も安定した上昇を見せ、国民の多くが携帯電話を購入できるようになった。また、携帯電話もコンピュータと同じく、技術面や機能面において良くなり価格も下がっている。今では1000元以下でカメラやMP3プレーヤーを内蔵するNOKIA5070が買える。モノクロ画面の携帯電話は300~400元で買え、月収1000元前後の出稼ぎ労働者にも買える価格になった。 中国無線営業販売研究専門家の朱海松氏は、「第四の力」が発展したことが、携帯電話ユーザー増加の大きな要因である、と述べている。朱氏は「情報」を、設備、資金、人材に続く「第四の力」と見なしている。時代の発展に伴い、人は情報に頼るようになる。携帯電話は情報を交換し、情報を得るのに最も身近な手段となっている。移動体技術の先進性とその手軽さは、その他の通信方式では及びもつかない。移動体通信の需要は長く持続するものであり、中国の携帯電話のユーザーが増加を続ける重要な要因である。 ○現代人の生活像を形作る 朱海松氏は携帯電話を、現代人にとって最も身近な「万能の末端機器」と称している。人は外出時に、携帯電話、鍵、財布を必ず身につける。また、バス停や地下鉄の中で、「親指族」が携帯電話を取り出してショートメッセージを打ったり、QQでチャットをしたり、WAP携帯サイトでニュースをチェックするのをよく見かけることだろう。中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)が公開した「第20回中国ネットワークの発展状況の統計報告」によると、今年の6月30日までに、中国の携帯電話ネットユーザーは昨年の2.6倍になり、4430万人におよんだ。 北京財経学院卒業の葛さんは、携帯電話を使って遊ぶのを主な娯楽としている。携帯電話に付帯する機能が増え、携帯電話で写真を撮ったり、音楽を聴いたり、ゲームで遊べるようになった。三峡大学一年生の孫偉川さんは、携帯電話を使って何度か列車の切符を購入したことがあり、彼に言わせるとお金が多くかからず便利な方法である。中国民生銀行と中国移動通信公司(チャイナモバイル)が共同で市場展開している「おサイフ携帯」サービスは、ユーザーにモバイル金融サービス業務を行っている。ユーザーは携帯電話番号と民生銀行のカード番号を登録すれば、携帯電話のショートメッセージ、通話、WAP等の操作で、いつでもどこでも各種の金融サービスが受けられる。 朱海松氏は、「携帯電話は通信業にとどまらず、すでに生活のすみずみに浸透し、各分野各業界に及んでいる。携帯電話は現代人の生活に影響を与え、生活を形作っている」と述べている。 ○都市と農村部の市場を開拓 朱海松氏によると、2008年までに携帯電話ユーザーは延べ6億人に達する見込みとなった。移動体通信の産業チェーンは高成長を続けており、携帯電話の設計、研究開発、生産、販売、各種移動体向けサービスに至るまで、全ての分野にビジネスチャンスが転がっている。 各ユーザーの需要に対し、移動体通信会社は市場を細かく分け、ショートメッセージ、呼び出し音の個性化、「手のひら株式」など多くの機能でさまざまなユーザーの需要を満たしている。携帯電話の特注も多様な需要のなかから生まれたビジネスである。移動体通信会社が主体となり、産業チェーンの関連する各分野(メーカー、販売代理店、移動体向けサービス開発会社)を結びつけ、各分野が共同でエンドユーザーに対し個性あふれるサービスの提供を推し進めている。 中国移動通信公司の一日の利潤は2億元以上。移動体通信会社はハイエンドユーザーだけでなくローエンドユーザーの消費力も重視している。中国の農村部にはまだ巨大な市場が眠っており、同社を含む移動体通信会社が農村部の市場の潜在力に目をつけ、簡単な機能で低価格のローエンド製品を展開している。また通話費等の面で各種の調整を行うことで農村部のユーザーを引き付け、さらに携帯電話ユーザーの市場開拓を行っていく。 「人民網日本語版」2007年9月7日 |