対外開放は中国の基本的な国策だ。より主体的に地球の資源を利用すること、より積極的かつ有効に外資を利用することは、新しい時代の中で外資導入の水準を引き上げるための課題だ。中国は改革開放の方向性を維持し、引き続き外資利用の方針を堅持して、経済運営の質を高めていきたい。 ▽外資による合併買収は多くない 海外企業の中国進出が増えるのに伴い、中国の外資利用には変化の潮流が現れた。たとえば外資による合併買収が盛んになり、米国の投資大手?カーライルグループによる徐州工程機械科技公司の買収、鉄鋼大手のミタルスチールの湖南華菱管線公司への株式参入、同じく鉄鋼大手のアルセロールの莱鋼集団への株式参入、ドイツのシェフラーグループによる洛陽軸承公司の買収などが行われ、最近またフランスの調理器具大手?セブ(SEB)グループによる蘇泊爾集団の買収などがあった。不成立に終わった買収劇も一部にはあるが、いずれの合併買収も広く関心を集め、激しい論争を巻き起こした。 中国が海外企業の直接投資を導入するようになってから20年余りが経過し、現在では基本的に合弁?合作?独資方式による新規設立投資が主流になっている。しかしここ2年ほどは、中国の重化学工業、基礎的材料業、消費財の生産などの分野で、海外企業による大規模な合併買収が進められている。ビール業界だけでも、世界最大手の米アンハイザーブッシュ社(AB社)による哈爾濱(ハルビン)ビール公司の買収、英国のスコティッシュ?アンド?ニューカッスル社による重慶ビール公司の買収、オランダのハイネケン社の粤海ビール集団公司への株式参入といった大型の合併買収が行われた。 またベルギーのインベブ社による福建雪津ビール集団の完全買収で、買収額が同集団の資産総額の9倍に相当する約59億元に達したことが話題を集めた。 海外企業による中国サービス業分野での合併買収も急速に進んでいる。中銀国際公司の取締役兼チーフエコノミストの曹遠征氏によると、中国の世界貿易機関(WTO)加盟後の過渡期が徐々に終わりに向かうのに伴い、中国サービス業への進出を希望する海外企業が増えてきた。特に金融、保険、観光、小売などの業界では、多国籍企業の多くが合併買収方式での投資を選択する傾向にある。典型的なケースとして、香港上海銀行の中国交通銀行への株式参入、デロイト?トウシュ?トーマツによる国内会計士事務所の合併買収、米ニューブリッジ社による深セン発展銀行の買収、モルガン?スタンレー社による永楽(中国)電器販売公司の買収などが挙げられる。 しかしながら、外資による合併買収は一見盛んにみえるものの、実際の件数と取引額はそれほど多くない。関連部門のまとめた統計によると、現在、全国の外資導入に占める合併買収の割合は最大でも5%を超えることはなく、合併買収が盛んな製造業でも、合併買収の取引額は海外から中国への直接投資額全体の1割に満たない。 ▽海外直接投資が新たな潮流に 現在世界では海外企業による海外直接投資(FDI)が伸びている。2005年の投資額は9千億ドルに達し、発展途上国に流入した資金の総額は過去最高を記録した。これと同時に、海外直接投資の多様化が進み、国を超えた合併買収が一大潮流となっている。国連貿易開発会議(UNCTAD)のまとめた統計では、世界の海外直接投資総額のうち合併買収方式による投資が80%以上を占めた。05年の世界の企業の合併買収取引総額は3兆ドルに迫り、前年比40%増加した。より多くの発展途上国で国際合併買収が行われるようになり、案件ごとの取引金額は目立って上昇し、対象領域は一層拡大している。 |