今年は「十一?五」(第11次五カ年計画、2006年~2010年)の最初の年である。時はすでに半分が過ぎ去り、さまざまなマクロ経済指標が相次いで公表されるにつれ、経済運営におけるいくつかの肝心な問題が人々の関心を集めるようになっている。これらの問題についての分析は一喜一憂のものであるが、それを通じて今後のマクロ経済の方向性や政府の次のマクロ調整の重点をうかがい知ることもできよう。 1、固定資産投資の過熱が解消されておらず、銀行の貸付規模の拡大が投資の急増をもたらす。 投資は経済成長をけん引する主な原動力である一方、近年の中国のマクロ調整の対象ともなっている。都市部の上半期の固定資産投資は3兆6368億元で、前年同期比31.3%増。増加幅は4.2ポイント上昇。これはここ数年においてはまれなことであり、再び社会各界の注目の焦点となっている。 確かに、現在の「投資ブーム」にも正常な要因がある。例えば、新しい5カ年計画の実施に伴い、いくつかの重点プロジェクトが相次いで着工されたこともその1つである。データでは、今年1~5月期に、中央プロジェクト投資が前年比22.7%増となっている。しかし、前年同期の増幅はわずか10.1%であった。分析して見ると、中央財政投資の増幅は倍増したが、都市固定資産投資におけるウェートは低いものであり、地方プロジェクトのウェートが依然として約9割を占めていることを容易に見て取ることができる。同じく1~5月の地方プロジェクト投資は31.3%増で、特に中部、西部地域の投資の伸びが際立っている。注意しなければならないのは、いくつかの過熱業種の投資がいったん低下の傾向を示したあと、また上昇の勢いを見せていることである。例えば、鉄鋼業界の1~5月期の投資は前年同期比7.8%増から13.7%増に反発し、非鉄金属業界は24.7%から34%に反発していることがそれである。 以前と異なっているのは、このラウンドの投資熱において、貸付規模の拡大は投資の急増にもってこいの外的環境と資金源をつくり出すことになり、地方に内在的な投資衝動が放出される余地を与えた。1~5月期に、都市部の実質投資額の中で、国内貸付は前年同期比24.1%増であるが、前年同期の増幅は13.7%だけであった。中国人民銀行(中央銀行)のデータで明らかにされているように、1~5月における全国の金融機関の人民元貸付累計新規増加額は1兆7834億元に上り、今年の年間貸付目標の7割をも上回ることになっている。 今年に入って以来、中央銀行はすでにさまざまな貸付の急増を抑制する措置をとっている。4月28日からの貸し出し金利の引き上げ、5月の中央銀行の手形発行による大量な資金回収、7月5日の預金準備金率の引き上げなどがそれである。中央銀行は、次に金融機関への日常的管理を強化し、商業銀行が中長期貸付供与の規模およびそのペースを合理的なものにするようコントロールし、貨幣政策とマクロ経済政策とがさらに調和の取れたものになることを目指している。 2、生産能力の過剰がマクロ調整の重点の1つ。 発展改革委員会筋は6月末、2005年末の中国の製鉄能力は4.7億トンに達し、建設途上生産能力も1.5億トンある。しかし、2005年の消費量は3.5億トンにとどまっており、たとえ今後の需要増加を考慮しても、需給関係は深刻なアンバランスの状況に陥っていると指摘している。 鉄鋼業界だけでなく、セメント、電解アルミニウム、コークス、石炭などの生産能力過剰の現象が依然として存在しており、一部では深刻化する傾向も現れている。 |