北京周辺の山間部は首都の緑色生態の屏風であり、また主要な水源供給地である。首都の飲料水水源を保護するために、北京水務部門は「生態回復、生態整備、生態保護」、という「三防衛線」の構築を提案し、生態清浄な小流域構築といった水土保持新構想を打ち出した。 現在、北京周辺の山間部には密雲、懐柔、官庁の三大貯水ダムと懐柔、張坊、平谷の三大応急水源が集中している。この数年、水源地の農民が増収のために旅行、採摘、養殖などの産業の発展に力をいれたため、旅行生活汚水、ゴミ、養殖廃水、農薬化学肥料などによる汚染が日増しに深刻になっている。これらの水源の清浄、安全を保証するため、北京市水務部門は「三防衛線」の構築、生態清浄な小流域を設定する措置を講じた。 第一に生態回復防衛線である。具体的には、山地を封鎖して禁牧し、人為活動を規制し、大自然の自己回復能力に頼って、植生を回復させる。一級泥石流危険地区に対しては、採掘空洞区危険村危険家屋(鉱物採掘後、地下が空洞になり、地上の建物が危険状態にあること)の2.8万人の住民に対して、逐次生態移民を実施する。農民に対する補助金を給付し、山間部の水源保護林管理保護メカニズムを確立する。 第二に生態整備防衛線である。水源地を重点として、2万6000余の農村トイレを改造し、一日処理能力1530?の小型汚水処理施設を建設すると同時に、農村ゴミの「村収集、鎮輸送、県処理」の管理メカニズムを確立する。このほか、農業播種構造を調整し、化学肥料施肥量、農薬使用量を減少させる。 第三に生態保護防衛線である。密雲、懐柔貯水ダム上流の一級支流及び潮白河、永定河、温楡河、拒馬河などの河道の川砂採取禁止、河川を封鎖して草や潅木の育成を実施して、生態河道を建設する。同時に、貯水ダム周辺、河川周辺、溝渠周辺、河口を保護するために、密雲貯水ダム一級水源保護区の厳格な保護政策を制定している。 この数年、「三防衛線」構築の構想に基づいて、北京市は北部の山間部に相前後して20余の生態清浄な小流域を設定している。北京市懐柔区の各農民住宅、民俗観光地には数多くのバイオレメディエーションと生物膜濾過技術の小型生活汚水処理施設が採用されている。処理後、河川に排出される水は基本的に地表水第三類の水質に達している。現地管理人によると、今年のゴールデンウィークには、当該流域範囲に17万人の観光客を迎えたが、これらの汚水処理施設があるので、大量の生活汚水が直接懐柔貯水ダムに排出されることはなかったとのことである。 これと同時に、整備区の60%以上の流域の人々が生態旅行、リクラゼーション観光、果物摘果などに従事しており、これが現地農村に経済発展をもたらし、農民一人当たり純増収は20%以上になっている。 「チャイナネット」2006/06/06 |