中国国土資源部によると、西蔵(チベット)扎布耶(ザブイェ)リチウム資源開発産業化モデルプロジェクトは、年内に設計生産量に達し、年間7128トンの炭酸リチウムの生産量は、中国のリチウム塩大量輸入の状況を変えることになる。国際鉱業筋は、中国のリチウム塩開発の急速な発展はリチウム塩市場に大きな影響を及ぼすという見方を示している。 現在、世界の炭酸リチウム年間生産量は6万トンあまりで、主な生産国はチリなどである。チベットのリチウム開発の産業化は、中国のリチウム塩の輸入に依存する現状からの脱却に大きく寄与することになる。国土資源部筋は、今後数年間に、チベットは世界で最大のリチウム産業基地になると見ている。 専門家の推計では、リチウム、ホウ素、カリウム、セシウムなど、チベットの扎布耶(ザブイェ)塩湖に埋蔵されている鉱物の潜在的価値は1500億元以上にのぼるものであり、世界でも数少ない百万トンクラスの塩湖の1つとなっている。扎布耶塩湖の鉱石の質の面では、リチウム、セシウムは世界で二位、カリウムは全国でトップである。 2004年10月に始動したチベット扎布耶(ザブイェ)リチウム資源開発産業化モデルプロジェクトは、すでに大きな経済効果を生み出している。業界専門家は、このプロジェクトが設定生産能力に達することは、中国リチウム生産の一里塚となるものであり、中国のリチウム産業も今後目覚しい発展を遂げると見ている。 リチウムは人々の生活と密接なかかわりのある希少金属元素の1種である。また、携帯電話のリチウム電池の主な原料で、航空、宇宙飛行関連産業にとっても不可欠である。 最も軽い金属としてのリチウムには、ユニークな物理的、化学的な特徴がある。計算によると、1キロのリチウムの持つエネルギーは2万トンの良質石炭に相当し、少なくとも340万キロワット時の発電ができ、U-235核分裂が生むエネルギーより8倍も大きい。つまり、1基の100万キロワットの発電所は、年間で5トンの天然リチウムだけでも十分ということになる。そのため、リチウムはまた、21世紀のエネルギーの新しい仲間であるとも言われている。 長い間、中国のリチウム製品の生産は主に固体リチウム鉱石に依存していた。世界のリチウム市場はほとんどチリ、アルゼンチンなど少数の国に独占された形になっていた。 「チャイナネット」2006年6月7日 |