荀子（Xun Zi）

【荀子】戦国末期、BC. 298ころ～BC. 238頃
荀子は諸子百家の一つ、孔子(こうし)に始まる儒家(じゅか)の一人である。

姓は荀(じゅん)、名は況(きょう)。当時は荀卿(じゅんけい)と尊称され、漢代には孫卿(そんけい)とも尊称されました。英語では"Hsun-tzu(筍子)"と中国音そのままである。生れは趙(ちょう)(山西省)。

50歳で初めて斉(せい)に遊学(ゆうがく)し、襄王(じょうおう)に仕(つか)え祭酒(さいしゅ)(文部大臣)となった。人に陥(おとしい)れられて楚(そ)に移り春申君(しゅんしんくん)に仕え蘭陵(らんりょう)の令(現在の山東省エキ県の東の地の長官)となった。

著書は名前と同じ『荀子』。現在伝わっているものは漢の劉向(りゅう、こう)が２０巻３２編にまとめたものです。勧学、礼論、性悪、天論などの編がある。

子(もうし)の性善説に対して性悪説を主張したことから、その点だけが強調されて一般には正しい評価を受けていないようである。

例えば、性悪の対応として教育を重視している。よく知られている「出藍(しゅつらん)の誉(ほま)れ」も『荀子』の勧学編から出た言葉である。又、非常に劣った駑馬(どば)でもこつこつ歩けば優れた騏驥(きき)をも勝(まさ)ると、努力を高く認めている。

一方、二足歩行をして毛がないから人間であるわけではなく、人間としての自覚があるから人間である、とも述べている。そして、道家の自然主義や五行説などを否定して天から人を独立させ、他律的な礼法を取り入れて儒学を倫理学から政治学へ発展させている。

門下には韓非(かんぴ)、李斯(りし)などがいるが、李斯は始皇帝に仕えて焚書坑儒を行なったため、荀子も儒家の間では評価が悪くなってしまった。