お客様の声
2014年 4月 29 日~5月 5日 大谷 和男
バダインジャラン砂漠の行動した区域
一、はじめに
膝の悪化に伴い色々なことを考えてきたが今回は「砂漠」を考えてみることにした。砂漠を歩くとはどういうことか?今回はまずそのイメージを掴むため歩いてみようと思った。
狙いは中国ではまだ行ったことのない内モンゴル自治区の砂漠。本来内モンゴル自治区の砂漠の旅の最適時期は7~8月で、4~5月は強風の時期ということだが、会社のリフレッシュ休暇を使っての旅ということもあり、砂漠の旅を知るためには返って条件の悪い時期でもよいと開き直り出かけた。「楽しくない旅」、「何でこんな所へ来てしまったとのか」と思う旅になることを覚悟して出発した。
砂漠は幾つか候補があったが、砂漠のヒマラヤと形容されていることから巴丹吉林砂漠に興味を持ちこの地に決めた。旅の手配はいつものように中国の旅行会社の邹さんにお願いした。得意の単独行である。
<行程>
|
行程
|
行動内容
|
宿泊場所
|
2014 年
4/29(火)
|
東京(成田)9:50 → 上海(浦東)11:55 NH919 海南航空 HU7736(浦東 T2 楼 15:30→蘭州中川 18:40) |
移動
|
蘭州
|
4/30(水)
|
蘭州→金昌 列車 T9205(07:45~11:10) 金昌⇒砂漠入り口 - 通古図 - 多和吉林 18 キロ
|
徒歩
|
砂漠
|
5/1(木)
|
多和吉林 - 哈特尓図 - 希勒克図 18 キロ
|
徒歩
|
砂漠
|
5/2(金)
|
希勒克図 - 毛尓図 - 巴丹吉林廟 18 キロ
|
徒歩
|
砂漠
|
5/3(土)
|
巴丹吉林廟周辺(予備日)
|
徒歩
|
砂漠
|
5/4(日)
|
双海子⇒巴丹湖⇒砂漠入り口⇒阿右旗
紅墩子大峡谷半日観光⇒金昌駅
金昌→蘭州 列車 K1352(16:54~21:36)
|
移動
|
蘭州
|
5(月)
|
東方航空 MU2351(蘭州中川 07:45→浦東 T1 楼 10:15) 上海(浦東)17:00 → 東京(成田)20:55 NH960
|
移動
|
帰宅
|
<メンバー>
大谷和男単独
<装備>
GPS、軽登山靴、ショートスパッツ、カッパ上下、手袋、替靴下、ザック、フリース、着替え
テント(借用)、シュラフ、シュラフカバー、マット、ガスコンロ(現地調達)、バーナー、水筒(5L、1.5L)、コッヘル
<食料> 朝:4 食
行動食:5 食 夜:4 食
<参考(ネット情報)>
バダインジャラン砂漠(巴丹吉林砂漠)は、中華人民共和国内モンゴル自治区南西部のアラシャン盟にある砂漠。ゴビ砂漠の南方に位置し、面積は4万5千平方キロメートルと中国で3番目に大きい砂漠。バタジリン砂漠、バタンジャリン砂漠などとも言う。砂漠のなかには多数の湖があり、その数は100を超える。砂丘の最も高い地点である必鲁图沙峰の標高は約1609.6mで、砂峰としては世界で最も高い。高さ500メートルを超える砂山がそびえることから、砂漠の「チョモランマ」と呼ばれている。北西部の1万平方キロの砂漠には、未だ誰も足を踏み入れたことがない。砂山、鳴き砂、湖は巴丹吉林砂漠の「三絶」と言われ、非常に魅惑的な景観である。
二.記録
2014年4月29日(火)
*東京(成田)9:50 → 上海(浦東)11:55 NH919 海南航空 HU7736(浦東 T2 楼 15:30 → 蘭州中川 18:40) → 蘭州駅(列車チケット確保)→ 敦煌之星快捷酒店(兰州黄河店)(22:00)
今日は移動のみだが、蘭州に着いたら明日と帰りに使用する列車のチケットを入手しなければならないのがポイント。蘭州に来たのは9年ぶり。上海は気温が高かったが蘭州はそうでもない。しかし空気が悪い。空港からは列車のチケット交換所までタクシーで向かう途中タクシーの中に居ても喉がいがらっぽい感じ。空港は町の中心から離れているのと渋滞で時間がかかった。
邹さんから送られてきたチケット交換用の紙をプリントアウトしたものを持ち、駅近くの交換所に行くと、ここではできないので駅に行けと言われタクシーを拾い直し駅に行く。駅は混雑しており長い列の後ろに並ぶ。列は横入りできないように一人しか並べない幅に柵が付いている。しかし中国人のパワーがすごい。こんな田舎の駅でも人が沢山いるし騒々しい。知っているつもりだったが久しぶりに体現するとやはり中国はすごいと思う。4月の環境新聞には、蘭州の水道水から許容量以上のベンゼンが検出されパニックとなりPE
Tボトルの水が高騰したとの記事があったが、今は治まっている様子。
時間はかかったが蘭州駅では無事チケットへの交換ができほっとする。後は泊まるホテルを探すだけだがなかなか見つからない。駅からかなり離れてしまったところで、面倒なのでタクシーに乗ると何と駅のすぐそばでその前を歩いて通り過ぎていたことが分かった。
しかしホテルに無事着いたことに安堵した。
蘭州は初めてではない。かつて出張で金昌にある企業を訪問するため蘭州に来たことがある。上海から飛行機で蘭州の空港に着陸しようとしたとき、窓から見えた大地があまりにも赤茶けていた砂漠地帯だったので火星に来てしまったのではないかと思ったほどだった。
出張のときは蘭州から車で金昌まで行った。確か5時間くらいかかったと思うが、今回は明日汽車で金昌駅に向かう。
今回は名物の蘭州ラーメンは時間が無く食べなかったが、かつて出張したときには着くとすぐに食べた。ラーメンと言っても実質うどんだが、上海に戻ってからも蘭州ラーメンを掲げる多くの店で5元の蘭州ラーメンを食べ続けた。旨いかどうかはスープの味で決まり店によってもずいぶん違う。
つい色々なことを思い出してしまうが、明日の朝も早いので日本から持ち込んだウイスキーを煽って寝る。長い一日だった。
5月2日(金) 晴れ
*敦徳吉林・1230m 地点(7:30)-1230m 地点(13:00)-二号珠峰・1505m(13:55/14:00)-1230m 地点(14:20)-巴丹吉林廟(15:30)
(二号珠峰・1505m 登山:昇り 55 分、下り 20 分、標高差 275m)
テント場テント場の窪地を4WD で出るとすぐに歩かせてもらった。きついところはフカフカな登りだが、風も無くとても天気がよいので気持ちよく歩いた。蘭州はとても空気が悪い感じがしたが、砂漠は風さえ吹かなければ空気はとても綺麗で、ここが同じ中国かと思うほどである。こんな真っ青な綺麗な青空を見られ
るところが他にあるだろうか。
今日も効率よく進んでいる。2 時間程度歩いたであろうか。峠のようなところへのフカフカの登りを登りきると思わず息を吞んだ。目の前にはとても綺麗な湖が広がっていた。こんな綺麗な景色に出会ったのは久しぶり。
しばらくの間、ただ茫然と眺めた。
きれいな湖を十分に堪能した後さらに進むと次の大きな湖が出てきた。湖の多い地帯に入ってきた。ここで我々と逆コースを4WD で来た中国人 4 人組と会った。一人は服装からして警察官のようだったが徐さんとの長話が始まったようだったので、私は挨拶だけして先を歩いた。この大きな湖を抜けると次の湖が見えてきた。どうもこの辺りの湖は塩を吹いていて真白な部分がある。特にこの湖は塩だらけといった感じだった。
もうすぐで今回の行程の最北の湖にでる。これを見て南下すれば最終目的地の巴丹吉林である。徐さんが待っているところまで行くと、指を差し「あの上に登ると湖が 6 つ見えるが登るか?」と聞かれた。1 つ位ピークハントも悪くないと思い登ることにした。いざ登ってみるとかなりの急斜面で思った以上に大変。蟻地獄に落ちた蟻のようで疲れた。標高差 275 で 1 時間かかった。これがもし雪面だったらかなり慎重にならざるを得ない急傾斜。山頂部は尖った三角形の頂点といった感じでスリルはある。但し雪面とは違い砂山なので滑っても下まで滑落ということはないだろう。山頂で四方を見渡すと確かに 6 つ湖
が見えた。特に裏側の湖が綺麗だった。下りはあっという間で 20 分で降りた。下って感じたことは砂山のよさは膝に優しいこと。今回登ったピークは二号珠峰という名で、最高峰の必魯図峰(ビルド峰)1600m の北側に位置する。
下山後ほぼ終点まで歩いたが、最後にものすごい急斜面の下りが待っていた。歩いて降りてもよかったがこの急斜面を車で下るとどんな感じか体験してみたくなり車に乗せてもらった。やはりかなりの迫力だった。
巴丹吉林は湖畔に位置しており廟もある。歴史的にも人が居住していたところのようである。しっかりした建物(招待所?)もあり漢民族が常駐しているようだった。建物の隣にテントを張らせてもらった。
4/30 | 夜 | 中国製カップラーメン(とても辛い)、中国製ソーセージ |
5/1 | 朝 | 日本製棒ラーメン(若いころからの得意メニュー) |
昼 | 日本から持ち込んだ行動食(パン、ウィダゼリー、果物)*果物は中国で購入 | |
夜 | 日本製ワカメ入り米飯(湯を入れるだけ) | |
5/2 | 朝 | 日本製棒ラーメン |
昼 | 日本から持ち込んだ行動食(パン、ウィダゼリー、果物)*果物は中国で購入 | |
夜 | 中国製カップラーメン(日本製うどんスープで食べた。この方が旨い。) | |
5/3 | 朝 | 日本製棒ラーメン |
昼 | 日本から持ち込んだ行動食(パン、ウィダゼリー、果物)*果物は中国で購入 | |
夜 | 日本製棒ラーメン、中国製ソーセージ | |
5/4 | 朝 | 日本製カップラーメン(小) |
*水:
中国で購入したペットボトル、*ウィスキー:成田空港で買ったBLACK LABEL(ペットボトル)、*ガスバーナー:中国製(徐さん)*ガスコンロ:韓国製(持参したEPIのバーナーでも使用可能だった。)
5月4日(土) 晴れ
※巴丹吉林廟(6:30)-巴丹吉林鎮(11:00/11:40)-紅墩子大峡谷-金昌駅(15:30)-蘭州駅(21:45)-兰州机场海航快捷酒店(22:30) 今日は4WDで砂漠から戻る日。朝早く出発すると途中で見た湖がとても綺麗だった。早朝で陽が斜めから当たりとても幻想的な風景で4 WDを降りてしばらく呆然と眺める。このような風景はここでしか見られないものだろう。
4WD で先へ進む。しばらく行くとこの強風の時期にしては珍しく旅行者がいた。丁度起床したところらしくテントから人が出てきた。4 WDを降りて英語で声をかけると、フランス人パーティーで8日間をかけて歩いてきて今日が最終日と言っていた。パーティーはフランス人7人(比較的年配の男女)、ラクダ 6頭と中国人ガイド 1人の構成だった。話をした人にお前は何人かと聞かれたので日本人だと答えるとやや驚いた様子で仲間に「ジャポネーゼ」と言っているのが聞こえた。彼らからみれば中国人も日本人も区別はできないであろう。
砂漠から出ると砂漠の中よりも寒いし風も強い。どうも砂漠の中は違うらしい。巴丹吉林鎮の出発地点のホテルに戻ると、徐さんがお金を払って昼食にしろという。私はそんなことより久しぶりにビールが飲みたかったので注文しようとしたが、何と驚くべきことにビールは無いと言われた。仕方なく出されたチャーハンを食べ 20 元支払った。チャーハンは米が硬くて決しておいしくはなかったが、腹が減っていたので全部食べた。しかしビールが飲めなかったのには参った。
ここで徐さんと別れ金昌駅まで迎えに来てくれた運転手の車に乗り換える。紅墩子大峡谷というところへ連れて行ってもらった。ここは高い岸壁の隙間を歩くようなところで、なぜこの様な地形が出来たのかよく分からないが(看板には川の三角州の砂や礫が数千年かかって水や風で飛ばされ形成されたとかと書かれていた)何かの資料に書かれていたグランドキャニオンという形容はやや大げさではないか。観光客は一人もいない寂しいところだった。
紅墩子大峡谷を後にし、金昌駅に向かうだけとなった。巴丹吉林鎮まで戻るとなぜか子供を乗せた車に乗り換えさせられた。次の車の運転手は女性だったが、子供を金昌に連れて行く車らしかった。100元が支払われていた。車が金昌に入ると今度はタクシーに乗り換えさせられた。20 元ほど支払われたようだった。たらい回しにされてやっと着いた金昌駅で駅前の雑貨屋で買ったビールを飲んだ。
まずいビールでも飲めてやっと落ち着いた気がした。
金昌からは汽車に乗り蘭州に向かう。帰りは硬座と呼ばれる座席で、とても混んでいて且つ煩かった。こんな車両に 4 時間も乗るのかと思うと憂鬱になった。砂漠の方がどれだけよいかと思った。その昔、中国の新幹線に乗ったとき携帯電話で話をする声が煩くて、ヒマワリの種や落花生の殻を床に散らかす光景を思い出していたが、今回はヒマワリの種や落花生の殻を床に散らかす光景は見られなかった。トランプをやっている光景も減った。牛肉入りカップ麺食べている人(カップ麺が皆好きらしい)、スマホをやっ
ている人が多い。そんな中、車掌は忙しい。ごみ袋を持ってのごみの回収、床の掃き掃除、水拭きを一人でやっていた。
蘭州には 30 分程早く着いた。中国の駅のホームには駅名があまり書いてないので、隣の人に確認して降りた。駅の外に出るとすぐにタクシーに乗り空港のホテルに直行した。300 元もかかったのは深夜割増ばかりではなくわざと遠回りされてしまったようだったが、面倒なので黙ってタクシーを降りた。
5月5日(日) 晴れ
*蘭州中川(7:45)-上海浦東(10:15/17:00)-成田(22:55)
昨夜はシャワーを久しぶりに浴びて全身砂だらけの体を洗い、やっとさっぱりできた。空港まで徒歩 10 分と朝早い飛行機に乗るにはとても便利なホテルだった。
中国ではいつものように色々なことがあったが、こうして初めての砂漠の旅は終わった。
気分転換は図れたし色々と考えることもできたという意味では充実した旅だった。
- ツアーはご要望どおりアレンジ可能!
- 日本語ガイドと専用車付き!
- ご旅行代金は現金払いOK!
- 中国現地旅行社、最低価格保証!